第21話 「絆」
2015年06月23日

「一期一会」
これまで多くの方に支えられ、多くのことを教えられてきました
正直、10年前はつくづく自分勝手だったと思います
アクセサリーを作る嫁から教えられたことは数え切れません
同じように見える材料でも納得できないものは一切使いません
自己満足することもなく、ご愛用いただく方に喜んでいただくことが最優先
女性ならではの気づかいというか、やさしい思いやりの気持ちが作品にこめられていきます
まさに作品はわが子であります

私は若い頃から子供好きでした
今でも赤ちゃんやチビッ子を見かけると可愛くてたまりません
ところが自分勝手な私は「父親」としては赤点だったと思います
世の中もすっかり変わってしまいました
産まれたばかりの赤ちゃんを母親が殺したり、子供が親を殺したり
朝ごはんも食べないで学校へ行く子供がいたり
子供をほったらかして遊ぶ親がいたり
オリンピックも集団的自衛権も大事な問題ですが
子供たちに「愛」というものを伝えることを真剣に考えるべきだと考えます
平等こそ不平等であります
もちろん差別は絶対にあってはならないことです
人間として男も女も同じなのは当たり前です
ただ男女の区別は必要です
自然界の動物をみても、平均寿命をみてもわかるように女性のほうが生命力が強いのです
弱い男を強くするために教えてきたこと
「男のくせに泣くな!」「それでもお前は男か!」
「男らしくしろ!」
もう聞かなくなった言葉です
おそらく今の世の中ではこれを言うことが悪なのでしょう
女の子に対しても同様です
厳しさが必要とか、足りないとか言ってるのではなく
真剣に愛情を注ぐ環境、学校や会社などで先輩が後輩へ教えることも減ってしまい
親が子供に100%の愛情をぶつけることが難しくなっています

学校へ持たせる雑巾も買う時代
私は手作りには愛を伝える効果というか役割があると思います
親が手仕事をしていると子供は興味を示します
そこでコミュニケーションもうまれますし、集中力も芽生えます
物を大切にする心、感謝の気持ちが育つと思います
父親として赤点だった私ですが、今はアクセサリー教室を通じて、お母さんたちを通じて
子供たちに「手作り」が伝わることを信じています
一期一会のタイトル画像「絆」
一文字書家の蓑部剛史さんは障害があるために常に作品が書けるわけではありません
「年に数回、限られた集中力の中で一文字を書くことが精一杯」
「そんな中で作品となるものが年に4点くらいですね」
と数年前に剛史さんのお母様からお話を伺いました
「絆」といえば皆さん大震災を思い出せれるでしょうが、この作品は震災の3年以上前に書かれたものなんです
健康に生まれた子供を育てるのも大変ですが、障害がある子を持つ母親の苦労は言葉にできません
でもその母親の強さと深い愛情を感じたひとこと
「一番大変なのはこの子ですから」
母親の愛情で育てられ、嫁の優しさに教えられ、天国のお母さんには守ってもらい
私はこの深い愛情を受けるだけでなく
教室を通して少しでも「手づくり」のもつ大きな役割をお伝えできればと思っています
原口美俊
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